日刊 『こんばんは、父さん』


二兎社公演37「こんばんは、父さん」の稽古場風景や楽屋裏の様子をレポートします。

■作・演出/永井 愛
■出演者/佐々木蔵之介 溝端淳平 平幹二朗

■地方公演:2012年10月13日〜21日、11月9日〜12月2日
■東京公演:2012年10月26日(金) 〜 2012年11月7日(水)/世田谷パブリックシアター

http://nitosha.net/n37/

2012年12月02日

こんばんは、父さん。閉幕!

さて泣いても笑っても今日が最後の公演です!

北九州公演大千秋楽!!

いや〜長かった!そして短かったです!!

本当にあっという間です!

昨日永井さんも

『1年くらいやっているような感覚だけど、早かった!!』

と、おっしゃっていました。

劇場に入るとやっぱり今日は特別な空気が流れています!

それでもキャストは最後までセリフのチェックを行い準備運動を欠かしません。

スタッフも最終チェックを。

最後だからこそ丁寧にチェックされているように感じです。

それぞれが自分の仕事に対して心から愛を捧げて向き合う姿に改めて感動し、

後ろ髪を引かれる思いになります。

『いっそ時間が止まれば』

とも思いましたがそれでも時間の経過は平等で、すぐに開場時間に。

最後の最後も満席です。

本当にありがとうございます!!


今日が大千秋楽ということはお客さんからも伝わり、劇場全体がラストランを演出しているかのようです。

祭りのあとの静けさと言いますか、そんな空気が高まる期待の中に交わった何とも不思議な感覚でした。

さぁザワつく劇場内に本ベルがなり最後の公演スタート。


廃屋の工場の割れ窓から鍵を開け、富士夫が入ってきます。

普段ギリシャ悲劇やシェイクスピアの作品に出演され、

天の神々と交信するような大きな感情を持った国王の役などをされている平さんが、

くたびれた格好のおじさん役。というのはそれだけで新鮮でありインパクトがあります。

毎回ここでその存在感を肌で感じ、この先に展開していく物語の期待度が一気に上がります。

そこへ闇金の取り立て屋の星児が入ってくるところで、毎回緊張がほぐれ疾走感が。

今日もここからお客さんの気持ちを掴んでいき、一体感が生まれ始めました。

かつてエリートサラリーマンで今はその影も失った鉄馬が、実は工場の中に潜んでいて、

星児の取り立ての電話により2階から現れるシーンでは、劇場全体から笑い声が。

ここはもはや鉄板です!!


ここから始まる3名の化学反応。話す相手と内容によりアプローチが変わり人間関係が入れ替わります。

永井さんの人間を描く本と演出が見事に完成し、深く深く掘り下げられ、さらに練りあがっています。

お芝居の枠を超えて、本当にその場所で起こっている現実の出来事を覗き見しているような、

そんな感覚で最後の舞台は進んでいきました。

3場のブルーの月明かりが闇夜の不気味さを与えます。

みなさん3場から少し姿勢が変わるのは、その影響を受け自然に体が反応しているからでしょうか?

富士夫と鉄馬の言葉のぶつけ合いとすれ違って生活してきた過程が生々しくも可笑しく描かれています。

お互いの過去の記憶を呼び起こして、結果的に二人を結び付けていく星児も、

3場からの緊迫感はもう圧巻です。緊迫感を与えているのに変に真面目なところや根の優しさが憎めず、

ついつい応援したくなるような。溝端さんだからこそ出るキャラだと実感しながら本番を追っていきました。

闇金の取り立て屋なのに、星児が現れると客席も含め劇場がパっと明るくなっていくのが伝わってきます。



そして3場終わりの母さんの話。

ここは稽古の段階から一発で決まり、とうとう最後までほとんど変えずに本番も終えました。

躍進していたところからエビの投資に手を出し絶望へ転落、

富士夫と同じような人生を辿り今を生きる鉄馬。

その怒るでもない悲しむでもない、なんとも言えない枯れた感じから、

母さんを思い出し富士夫と交差していくところのセリフ一つ一つに、

観ているこちら側の心をグッーと握りながら揺さぶられていくのを感じました。

その交差されたところから鮮明にイメージが浮かぶ母さん像。

今度は富士夫と鉄馬、そしてそこにいない母さんが交わってかもし出す、

親子であるようで親子では無く、親子で無いようで親子である感じが絶妙に絡んだ空気が、

過去の扉を生々しく開いていきます。

そこから一つの真実が明かされた時の二人の佇まいを見ると、またどうしようもない気持ちになります。

そしてそこへまた星児登場!!

息を飲むシーンからガラリと空気を変え、劇場全体が動き出すような大きな力に!!

舞台上と客席が完全に一体となり阿吽の呼吸で緩急をつけていきます。

ラストシーンでお互いの鎧を脱ぎ去り違う地平に立った二人がようやく心を通わせながら消えていくライトは、

しばらく心に留まり余韻となりました。

カーテンコールの明かりと音楽に切り替わった瞬間、

大拍手とスタンディングオーベーション!!

3回目のカーテンコール時に蔵之介さんがスッと拍手を止め、

『本日はご来場まことにありがとうございました!!本作品の作演出の永井さんはどちらでしょうか?』

と、永井さんを舞台上へ!!

歓声に包まれながら舞台へ上がった永井さんは涙を堪えながら平さん、蔵之介さん、溝端さんと抱き合い、

お客さんへ、

『本当にありがとうございました!』

と一言。

この作品を誰よりも愛し、何ヵ月も強い気持ちで作品と共に歩んできたのは作演出の永井さんです。

この一言の『ありがとうございました!』にすべてが集約され、それ以上の言葉は必要なかったです。

キャスト・スタッフ・お客様全員で再度大きな拍手を!

素晴らしい時間でした!!

そのあとすぐに駆け足で物販コーナーに戻り、

通る一人一人のお客さんに再度

『ありがとうございました!!』

と、丁寧に伝えている姿に心から尊敬しました。



これにて全行程終了!!

大成功で無事閉幕です!!

本公演に関わって頂いたすべての方に感謝しています!!

本当に本当にありがとうございました!!



最後に稽古場からしつこいほどモザイクを入れていた舞台セットを公開します!!

どどーん!!


s-1202-1.jpg

s-1202-2.jpg

s-1202-3.jpg

どうでしょうか!!

そしてこちらは最後にみんなで撮った集合写真です!!

s-集合写真.jpg

各分野のプロフェッショナルが集まった素晴らしいチームです!!

今回このチームで参加させていただいて本当に幸せでした!!





ということでこのブログもこれで最後です!!

最後に簡単にですがごあいさつさせていただきます。

この3か月間多くの方にこのブログを見て頂き、支えられてきました。

また、毎回多くのコメントをいただき、たくさんの方々に劇場で声をかけて頂きました。

そのおかげで毎日奮起して最後まで書ききることが出来たと感じています。

心の底から感謝しております!

僕のような者が生意気ですが、

このブログを通して少しでも、『こんばんは、父さん』、『二兎社』、はたまた『演劇の世界』に興味や関心を持っていただけたら幸いです。

またいつか皆様とお会いできる日を楽しみにおります!!

夏の暑さが残る9月から、冬の始まる12月までの3ヵ月という長い時間をお付き合い頂き本当にありがとうございました!!




と、言いつつ.......


2つほど保留にしてある質問がありました。

それをお答えして本当に最後とさせていただきます。

劇中に出てくる話の中で僕が過去に行っていた仕事を使っているところがある。

ということを制作の安藤さんが挙げてくれたと思うのですが、

その答えは『御嶽山の水』です。

富士夫と鉄馬のやり取りで、


鉄馬 『父さん、仕事は何してる?』

富士夫 『シルバー派遣ってヤツだ。自転車置き場の整理とか、たまにはビルの掃除だとか。』

鉄馬 『あぁ、あるよね。』

富士夫 『お前は何してる?』

鉄馬 『派遣で御嶽山の水を売ってる。御嶽山のじゃないんだけど。』

富士夫 『あるよな........』


というあの話ですね!!

実際とは違うんですがこれと似たような仕事をしてました。

ちなみにちゃんとした水を売ってました。本当に。

それを永井さんに話したところ、今回の話に使って頂けることになりました。



さてもう一つは、

劇中の鉄馬と富士夫が乾杯するワンカップのお酒の中身ですが、

その答えは『天然水』です。

なんと2つとも水つながり。

謎の因果関係ですが...

カップの蓋に穴を開けて中を抜いておき、本番前に水を入れて穴を塞いでいます。

それを本当に美味しそうに飲むので知っているはずのこちらも、

『本物じゃないのか?』

と疑ってしまうくらいですね。

ちなみに中身は稽古を行っていた時期にスタッフで分けて美味しくいただきました!!


ということで、これでもう忘れてることはないですね!!

最後にもう一度改めてお礼を申し上げます!!

3か月間お付き合い頂き本当にありがとうございました!!!!

池内風
posted by nitohsa at 00:00| Comment(15) | TrackBack(0) | 日記

2012年12月01日

北九州公演!!

さぁついに始まります。

北九州公演!!

これが本当に最後の公演なのです!!

歩きながらこれまでの公演を思い出しゆっくりと劇場へ。

どの劇場のお客さんもすごい温かく出迎えてくれて、

本当に感謝です。

劇場に入るとスタッフは皆いつもどおりに淡々と準備していて、

それが逆にまた悲しくなりますね。

キャストも無事全員劇場入りし、いざ場当たりへ。

劇場行くと既に溝端さん、蔵之介さんが舞台上でアップしています。

昨日蔵之介さんがおっしゃっていたようにすごい良い劇場です!

s-1201-1.jpg

これぞまさにお芝居小屋!!という感じです!!

客席との距離といい、音の響き方といい、大きさも本当にベストな劇場!

溝端さんも

『うわぁ〜!ここ良いなぁ〜!!』

と、しばらく感動していました!

全員集まったところで場当たりを開始。

『もうお伝えすることはありません。残り2ステージ思いっきり楽しんでください!!』

と、永井さん。

永井さんの笑顔の奥にもやや寂しそうな表情が。

先ほどは淡々と作業をしていましたが、スタッフ・キャストもややしんみりと。

が、それでも幕は開くのです!!

舞台監督の澁谷さんが、

『最後まできっちり楽しみながら頑張りましょう!!』

の声に一気に決起する一同!!

今日もいつもとはまた別の特別な時間になりそうですね!!


s-1201-2.jpg

劇場ロビーから見える小倉城。

ロケーションもステキです!!

夢中でお城を眺めていたら、あっという間に予定時刻になり開場。

ロビーでは、たくさんの方に応援や期待の声を頂きました!!

本当にありがとうございます!!


さぁ劇場も満席!!本ベルと共に開演です!

この練りあがった星児と富士夫のコンビネーションで今日も客席は一撃で心を掴まれます。

そして鉄馬が混ざりそれぞれが放つ色合いが物語の進展と共に少しずつ混ざり、

コロコロと変化していくがそれぞれの関係性がはっきり細かく観えて本当に素晴らしかったです。

客席からも笑い声が漏れながら前へ前へ集中していく姿がビンビン伝わります。

セリフ1つ1つを拾いながら役者それぞれの声と表情に反応し、

それに乗っかっていくような非常に良いお芝居でした。

このお客さんと作られていく生の一体感を感じるたびに、僕は舞台が好きになります!

最後はカーテンコール4回、劇場ほぼ全員がスタンディングオーベーション!!

この公演では何度かあったスタンディングオーベーション。

こんな光景めったにないと思います!!今日も本当にステキな時間でした!!


さぁさぁさぁさぁ!

いよいよ明日が最後です!!

ついに来てしまいました!

蔵之介さんが、

『3ヶ月ずっと反復していたセリフが、明日はもう舞台上で1つ1つ自分の手から離れていく。』

と、おっしゃっていました。

平さんも溝端さんも永井さんもスタッフもそれぞれの思いの中、ラストラン!!

最後の公演に望みます!!

大千秋楽!!すごいことが起こりそうです!!

最後の最後までぜひお付き合いください!!

池内風
posted by nitohsa at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2012年11月30日

最後の地、北九州へ!

今日は移動日です。

最後はキャストもスタッフも全員揃って仲良く移動。

いよいよ最終地点北九州へ上陸です!!

夕方からスタッフは仕込みを行うため劇場に。

その前に昼ごはんを食べる場所を探しながら少し散歩。

面白そうな市場を発見しみんなで入ります。

s-2012-12-01 11.10.28.jpg

活気あるれるここの市場は、魚の切り身や、はんぺん、おでん、メンチカツなど様々な一品物が売られていて、

ある一角ではご飯だけ買い、コタツに入りながら市場で買ったものを食べられるスペースもあります。

平日ですがすごい賑わいでした。

夜には表の通りで屋台が並び、これまた人で賑わうのだとか。

旅なれたスタッフはここ北九州はもう庭のようで、

各自好きなところへスイスイと消えていってしまいます。

離れた土地でも行きつけのお店があるのってステキだな。

なんて思いますね。


さて、とりとめのないお話をしてしまいましたが、

あと2ステージで終わりです。

大千秋楽。足音が迫ってきています。

小倉に着いたときに蔵之介さんは、

『いよいよ来たね。北九州の劇場はすごい良い劇場なんだよ〜。』

と、期待を弾ませていました!!

平さんも

『これが最後だなぁ...』

重みのある言葉を。

ちょっと悲しくなってしまいますね。

本当の本当にラストスパートです!!

ここ北九州で最後にどんな特別な時間を送れるかとても楽しみです。

池内風
posted by nitohsa at 00:00| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記